やられるたびに、新たな展開を見せるストーリー
Supergiant Games:
サンフランシスコにある約20名の開発スタジオ。これまでに『HADES』を含む4作のゲームを制作してきた。
カサヴィンさん、こんにちは。遂に日本でも『HADES』が発売されましたね!
お待たせしてしまってすみません。
膨大なシナリオの翻訳に少し時間がかかりましたが、原文に忠実な日本語になったと思っています! 早くみなさんにプレイしてほしいですね。
それでは、まずは本作開発のきっかけを教えていただけますか?
『HADES』はローグライクのアクションゲームを制作することを目標に、2017年頃から開発を始めました。やられるたびにダンジョンはイチからのスタートになっても、登場するキャラクターはすべての出来事を覚えている、そんなローグライクを作れたら面白いのでは?というのが、開発のきっかけでした。
そこでストーリーを何にしようか考えていたときに、注目したのが「ギリシャ神話」でした。私たちのチームはみんなギリシャ神話が大好きだったんです。
どのあたりが魅力的だったのでしょうか?
神々の複雑な家族模様が面白かったんです。
ギリシャ神話って、数千年を経てもいまだに人々の記憶に残っていますよね。それには、どこか深い理由があるはずでして……私が思うに、彼らが家族だから身近に感じられることが大きな理由の1つなのかなと。
ギリシャ神話に出てくる神々は、ほとんどが血縁関係にあるって聞いたことがあります。
そうなんです。例えば、本作のタイトル名でもある冥界の神「ハデス」は、女神「ペルセポネ」と結婚するのですが……ペルセポネは、ハデスの弟である天空の神「ゼウス」の娘でもあるんです!
そんなハデスとペルセポネにもし息子がいたら……という発想から、ハデスと息子「ザグレウス」との親子関係を中心に物語を描きました。冥界を舞台にした、複雑ながらも賑やかな家族ドラマ……なんだか面白そうだなと。
親と子どもの関係がいつもうまく行くわけではないことは、多くの人が共感できますから。
そんなハデスとザグレウスを中心としたストーリーが面白くて、次はどうなるんだろう?と気になっていました。
ローグライクゲームは挑戦しがいがある一方で、やられるたびに再スタートすることはストレスにもなり得ます。そこで、やられた先にも「ストーリー」という楽しみを持てることで、そのストレスを減らそうとしました。
また、やられて再スタートするとしても、プレイヤー自身は知識や経験を次に持ち越すわけですよね。それと同様に、ゲーム内のキャラクターにも知識を次に持ち越して欲しい!と思いました。例えば、ボスと何度も出くわすと、彼らがあなたのことを覚えている、という具合に。
なるほど! 確かに、そのようなセリフを返してくれていますよね。
それを実現するために、プレイヤーの状況や進行具合に、細かく反応できるようにしましたね。
例えば、ゲーム内では鏡の力を使ってザグレウスを強化することができます。それによって攻略が楽になっていき、序盤ではあまりつまずかなくなると思います。そうなると、最初のボスである「メガイラ」は毎回倒される訳です。すると、ザグレウスが勝てるのは鏡のおかげだと、メガイラが嫌味を言ってくるようになるんです。
長大なRPGのように、各キャラクターたちと深く知り合えるようにしたつもりです。ちなみに、プレイが100時間を超えた後でも、そこでしか見られないストーリーを目にできるかもしれませんよ。
それは本当に膨大なシナリオの量だったんでしょうね……。
はい。とても大変な作業でしたが、結果には満足しています。キャラクターたちの反応が細かく変わると、彼らがとても生き生きしているように感じられませんか?
アクションに集中できるカギは、クオータービュー!
やられるたびにストーリーが新しい展開を見せる。だから何度も繰り返し挑戦できるんですよね。
他にも、『HADES』が繰り返し遊びたくなる理由ってなんでしょうか?
ひとつは、プレイするたびに異なるザグレウスを楽しめることでしょうか。武具と神々の能力による組み合わせによって、プレイスタイルに広がりが出ます。どの神に出会えるかはランダムなので、予期せぬところですごい組み合わせができることがあるんですよね。
開発中は、ユーザーコミュニティからのフィードバックを常に集め、それを参考にしながら絶えずバランスを調整していました。おそらく、優に2万件は超えるほどのフィードバックをいただいていたかと思います。
それと、滑らかで歯切れの良いアクションにするために、「ストリートファイター」シリーズなどの格闘ゲームを参考にしています。攻撃時に次の攻撃をためておけるような仕組み(入力バッファリング)や、攻撃が当たった時に起こる停止時間(ヒットストップ)など、多くのプレイヤーには気づかれないかもしれませんが、細かいテクニックを入れていますよ。
そして、アクションに集中してもらうために、私たちが取り入れているのが「クオータービュー(※)」なんです。
※斜め上から見下ろすような視点のこと。立体描写方法の1つ。
Supergiant Gamesさんと言えば、クオータービューのゲームをこれまでにもリリースされてきていますよね。
この手法は、雰囲気たっぷりの美しい背景を表現しつつ、プレイヤーが戦略的にアクションゲームを楽しめるものだと考えているんです。
一人称視点や三人称視点のゲームだと、カメラの操作が難しかったり、死角となる背後を気にする必要があったりしますが、クオータービューだとキャラクターの周りすべてを見渡すことができ、アクションに集中できると考えています。
真上から見下ろす「トップビュー」や真横から見る「サイドビュー」のゲームも見渡しやすいのですが、クオータービューの方がゲーム世界に奥行きが出ますし、ビジュアル面でも細部が見えやすいです。空間の広がりも伝わりやすく、動きの自由さもある。背景とアクション両方のバランスを取れる手法だと思っています。
それでは、最後に日本のみなさんにメッセージをお願いします。
このゲームに興味を持ち、我慢強く待ち続けてくれたことにありがとうと言いたいです。日本のゲームは私たちの人生において、インスピレーションの源でした。なので、日本のみなさんが私たちのゲームを楽しみにしているというのは、とても嬉しいことです。
大好きな日本のゲームが私たちにもたらしてくれたような喜びを、『HADES』を通してみなさんにもお届けできますように!
カサヴィンさん、ありがとうございました。
『HADES』は本日配信ですので、みなさんぜひ楽しんでくださいね。
それではみなさん、よいインディーライフを!
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